不動産のファンドアドミニストレーションとは?

不動産ファンドや投資会社でアセットマネジメントをする場合に、「ファンドアドミニストレーション」との連携が必要となる場合があります。

なんだか横文字で長くて小難しそうですが、ファンドアドミニストレーションは、組成されたファンドの円滑な運営を支えるための管理・事務業務全般を指します。

つまり、アセットマネジメント業務を支える役割を担っています。

今回はそんなファンドアドミニストレーションの業務内容を紹介します。

不動産ファンドアドミニストレーション特有の業務についても解説しますので、是非最後まで読んでみてください。

ファンドアドミニストレーションとは?

「ファンドアドミニストレーション」とは、ファンド(投資信託やプライベートエクイティファンドなど)のバックオフィス業務全般を専門的に担うサービスです。

ファンド運用会社が投資活動に専念できるよう、ファンドの運営・管理に関する様々な事務作業を代行する役割を担います。

ファンドアドミニストレーションの業務内容

ファンドアドミニストレーションの主な業務内容としては、以下の5つが挙げられます。

  • 会計・経理業務
  • 資金管理業務
  • 投資家対応・レポーティング業務
  • 法務・コンプライアンス関連業務
  • 税務関連業務

それぞれ詳しく見ていきましょう。

会計・経理業務

会計・経理では以下の業務を行います。

記帳業務

  • ファンドの取引(投資実行、資金の入出金など)の仕訳作成や記録を行います。

決算業務

  • 定期的にファンドの決算書(財務諸表)を作成します。
  • ファンドが準拠する会計基準(有責法基準、金商法基準、IFRS、US-GAAPなど)に基づき、適切な会計処理を行います。

純資産価値(NAV)の計算

  • ファンドの純資産価値(NAV)を正確に計算します。

会計監査対応支援

  • 会計監査に必要な資料の準備や対応を支援します。

資金管理業務

資金管理では以下の業務を行います。

資金の入出金手続き

  • 投資実行、投資家からの出資金受入れ、分配金支払いなどの資金の流れを管理・実行します。

銀行口座の管理

  • ファンドの銀行口座の開設支援や、インターネットバンキングによる資金の受払い入力・着金確認を行います。

投資家対応・レポーティング業務

投資家対応・レポーティングでは以下の業務を行います。

キャピタルコール関連事務

  • 投資家への出資金の請求(キャピタルコール)に関する金額計算、通知書の作成・送付などを行います。

分配金・成功報酬の計算

  • 投資家への分配金や運用会社の成功報酬の計算を行います。

投資家向けレポーティング

  • 投資家への定期的な運用報告書などの作成・送付を支援します。

組合員名簿・連絡先リストの作成・更新

  • 投資家の情報管理を行います。

組合契約に基づく出資者同意取得対応

  • 組合契約に基づき、投資家からの同意が必要な事項に関する手続きを支援します。

法務・コンプライアンス関連業務

法務・コンプライアンス関連では以下の業務を行います。

ファンド組成サポート

  • ファンド組成に必要なアドバイスや、組合契約の実務的なレビューを行います。

各種登記手続き

  • ファンドの設立や清算に関する登記手続きを代行します(提携司法書士との連携含む)。

重要物の保管

  • 契約書、印鑑、通帳などの重要書類の保管を行います。

法令遵守支援

  • 適格機関投資家等特例業務に関する各種対応(届出業務、法令で定められた報告業務など)を支援します。

AML(アンチ・マネーロンダリング)/デューデリジェンス対応

  • 投資家や取引に関するAML/デューデリジェンス対応を行います。

税務関連業務

税務関連では以下の業務を行います。

税務関連書類作成支援

  • ファンドの税務申告に必要な書類作成を支援します。

税務申告支援

  • 法人税、消費税、住民税、事業税などの申告を支援します。

 

以上がファンドアドミニストレーションの主な業務です。

ファンドアドミニストレーションは、専門的な知識と経験が必要とされる業務であり、これらの業務を外部の専門業者に委託することで、ファンド運用会社は本来の投資活動に集中し、効率的なファンド運営を実現することができます。

特にプライベートエクイティファンドのような非上場投資においては、その複雑性からファンドアドミニストレーションの役割は非常に重要です。

不動産のファンドアドミニストレーション

不動産ファンドアドミニストレーションは、ここまで解説した通常のファンドアドミニストレーションの業務内容に加えて、不動産特有の複雑性や法規制、会計・税務上の論点に対応する専門的な業務が必要となります。

不動産ファンドアドミニストレーションの特徴と業務内容

不動産ファンドアドミニストレーションの主な特徴と業務内容は以下の通りです。

特別目的会社(SPC)のアドミニストレーション

不動産ファンドでは、個別の不動産を保有するためにSPC(特別目的会社:Special Purpose Company)を設立することが一般的です。

ファンドアドミニストレーションは、これらのSPCの設立から清算までの管理業務を担います。

特別目的会社(SPC)のアドミニストレーションに関する主な業務内容としては以下が挙げられますので、1つずつ見ていきましょう。

SPCの設立・登記手続きサポート
  • 定款認証、設立に関する税務届出、登記手続き代行、銀行口座開設など。オフショアSPCの設立に関するサポートも含まれることがあります。
役員派遣
  • SPCの取締役、監査役などの役員派遣を行う場合もあります。
重要物保管
  • SPCの印鑑、通帳、契約書などの重要物の保管。
会社事務・法務
  • 運営契約書の押印、社員株主総会の運営など。
コベナンツ管理
  • 融資契約などに定められたコベナンツ(財務制限条項など)の遵守状況のモニタリング。

不動産特有の会計・評価業務

不動産ファンドの会計は、不動産賃貸収入や減価償却費、不動産の売却損益など、不動産に特有の勘定科目が多岐にわたります。

不動産特有の会計・評価に関する主な業務内容としては以下が挙げられますので、1つずつ見ていきましょう。

不動産会計の専門性
  • 不動産会計に特化した記帳代行(YardiやMRIなどの特殊な会計ソフトへの入力を含む)。
賃料収入・費用管理
  • 賃料収入の管理、不動産管理費用(修繕費、固定資産税など)の処理。
減価償却費の計算
  • 不動産の種類や構造、取得時期に応じた適切な減価償却費の計算。
不動産の評価
  • 定期的な不動産の評価(時価評価など)に関するデータ収集や計算支援。特にIFRSやUS-GAAPなど、国際的な会計基準に準拠した評価が求められる場合もあります。
連結パッケージ対応
  • 複数のSPCを持つファンドの場合、連結決算パッケージの作成支援も行います。

不動産特有の税務対応

不動産は、固定資産税、不動産取得税、登録免許税、消費税(事業用物件の賃料収入など)などの税金が発生し、多岐にわたる税務対応が必要となります。

不動産特有の税務対応に関する主な業務内容としては以下が挙げられますので、1つずつ見ていきましょう。

各種税務申告
  • 法人税、消費税、住民税、事業税の申告業務。
源泉所得税対応
  • 源泉徴収票・法定調書に関する書類作成、源泉免除証明書の取得支援など。 
償却資産税申告
  • 不動産に付随する償却資産の税務申告。
消費税還付に関する留意点
  • 居住用物件の賃料収入は非課税であるため、消費税還付の対象外となるケースが多いなど、不動産特有の消費税に関する知識が求められます。
相続税・贈与税対策支援

不動産小口化商品などの税務上の留意点に関するアドバイス。

資金管理・信託指図業務

不動産ファンドは、不動産の取得や売却、賃貸収入の受領、ローン返済など、多額の資金が動きます。

資金管理・信託指図に関する主な業務内容としては以下が挙げられますので、1つずつ見ていきましょう。

不動産取得・売却に関する資金管理
  • 不動産の取得資金の決済、売却代金の受領・分配。
信託指図業務
  • 不動産信託受益権を保有するスキームの場合、信託銀行への信託指図業務も行います。

レポーティングの専門性

投資家へのレポートは、通常の財務情報に加えて、個別の不動産の稼働率、賃料収入、修繕計画、環境性能など、不動産に特化した情報が求められます。

レポーティングに関する主な業務内容としては以下が挙げられますので、1つずつ見ていきましょう。

PM(プロパティマネジメント)レポートのチェック
  • 不動産管理会社からのレポート内容の確認。
レンダーレポート作成支援
  • 融資金融機関向けのレポート作成。

デューデリジェンス(DD)支援

不動産取得時の財務・税務デューデリジェンスのサポートも含まれることがあります。

まとめ

今回は不動産のファンドアドミニストレーションについて解説しました。

不動産ファンドアドミニストレーションは、一般的なファンドアドミニストレーションの知識に加え、不動産取引、不動産関連法規、不動産会計、不動産税務に関する深い専門知識が必要となります。

そのため、会計事務所、税理士法人、信託銀行などが専門サービスを提供していることが多いです。

不動産ファンドや投資会社に勤める場合、ファンドアドミニストレーションとの連携が必要となる場合もあるため、その役割をしっかりと把握しておきましょう。

以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。

私がこの記事を書いたよ!

おゆき

おゆき アセットマネージャー、副業ブロガー / 男性

建築会社で主に「アセットマネジメント」と「土地活用コンサルティング」をしています。 ブログ副業で稼ぐノウハウブログも運営中。 「人を豊かにすることが、自分自身が豊かになる最善の方法」をモットーに情報を発信しています。

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